STEAM教育とプログラミング教育の相性
文部科学省が推進しているSTEAM教育は、実社会に即した教育手法として注目されている。STEAM教育では、Science(科学)、 Technology(技術)、 Engineering(工学)、Arts(アート)、Mathematics(数学)を統合的に学習する。
実社会において、ある商品を販売しようとしたとき、マーケティング、開発、製造、営業などにそれぞれ関わる人達が、情報を共有し、分析や検討を繰り返し、より市場価値の高い商品を作ろうとする。
良い商品を作るには、部門間の協業がキーとなる。もしも、マーケティングや営業の意見を無視して、商品を開発すれば、性能は良いけど高価だったり、デザインの良くない商品が完成してしまうかもしれない。逆に、開発の意見を無視すれば、性能が低かったり、利益率の低い商品が完成する可能性もある。
協業の重要性は、部門間だけでなく一個人に対しても言えることだ。「私は営業なので、開発のことは分かりません」「私は技術者なので、市場動向など知らない」では、部門間の協業などはできない。営業でも開発や生産管理について、開発でも営業やマーケティングの知識や理解が必要だ。一人一人の個人も、統合的に考える力が必要なのだ。
STEAM教育は、このような様々な局面から統合的に考えられる人材を育成しようと生まれたが、実際に教育するとなると簡単ではない。しかし、プログラミング教育を使えばSTEAM教育を実施することができる。
S科学は、物理法則に沿った動きをプログラミングしたり、micro:bitを使えば光、温度などを利用することができる。T技術は、プログラミングそのもので、パソコンやインターネットの活用もそうだ。E工学は、micro:bitの光センサーや加速度センサーなどを利用したプログラムを作れる。Aアートは、ゲームやアニメーションなどを作る際に密接に関わってくる。M数学は、プログラムで数学の問題を解くこともできるし、足し算、引き算、かけ算、割り算、乱数から三角関数などの数学をプログラミングでは頻繁に使用する。
プログラミングはSTEAM教育と相性が良いのだ。「科学」「技術」「工学」「アート」「数学」だけでなく、デジタル絵本を作るときは「国語」も一緒に学べるし、Scratchのミュージックブロックを使えば「音楽」も学べる。まちを紹介するプログラムなどで「社会」を学ぶことも可能だ。
プログラミングそのものを学ぶだけでなく、プログラミングを利用して他の学問(科目)を学んでほしい。
Yちゃん当時2年生のデジタルえほんアワード作品